心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
1933年(昭和8年)9月21日、37歳で亡くなった宮沢賢治。その短い人生の中で「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」「グスコーブドリの伝記」など数多くの名作を残しています。今回取り上げた「風の又三郎」は、初期に手掛けた作品を「草稿」にして、亡くなる2年ほど前から書き上げていった童話。9月の新学期を迎えた谷川の岸にある小さな学校に、不思議な少年が転校してくるところから始まります。その少年は、風とともにやってきたことから、地元の少年たちに「風の又三郎」と呼ばれ、彼らは一緒の時間をひととき過ごします。しかし「風の又三郎」は再び風のようにいなくなってしまうのです。
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