心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
昨年の11月9日、99歳で亡くなられた瀬戸内寂聴さん。5月15日がお誕生日ですので、生誕100年という特別な日に、初期の代表作「蘭を焼く」を味わってみました。1922年、徳島県に生まれた瀬戸内寂聴さん。28歳の頃、東京で本格的に作家を目指して活動をスタート。1961年、瀬戸内晴美の名前で評伝「田村俊子」を刊行。その翌年に執筆された短編小説「夏の終り」で女流文学賞を受賞されています。そしてその7年後に発表したのが短篇小説「蘭を焼く」。描かれているのは、大人の男女が、ふたりきりの部屋で過ごす時間。蘭の花の描写を通して、ふたりの関係性や過去、そして未来までも浮かび上がってきます。
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