2022年2月13日

井伏鱒二
『朽助のいる谷間』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治31年2月15日に生まれた井伏鱒二。誕生日を前に代表作の短編小説「朽助のいる谷間」を取り上げました。発表されたのは「山椒魚」より2ヶ月早い昭和4年3月。井伏鱒二が31歳の時の作品です。題名になっている「朽助」は本年77歳。出稼ぎのためハワイに移住し、その後日本に戻ると山の番人として暮らしていました。その山は、小説の語り手である「私」の家族がかつて所有していた土地。そのため「私」は幼い頃、子守として朽助に育てられ、学校に通いはじめると朽助の家で英語を習うようになります。それから20年以上たったある日、「私」のもとに届いた1通の手紙。それはタエトという朽助の孫娘からのものでした。

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