2022年1月23日

ウーリー・オルレブ
『走れ、走って逃げろ』
(岩波少年文庫)

物語の主人公である少年スルリックは、家族と一緒にゲットーで暮らしていましたが、ナチス・ドイツがユダヤ人たちを貨物列車で強制収容所に移送するようになり、たったひとりゲットーを脱出。その後は、森の中で過ごし、お腹がすくと農村で働き、放浪生活を続けていました。ユダヤ人であることを隠すため名前も変え、キリスト教徒として生きのびていくのです。その過酷な日々が実話だと思うと胸が詰まりますが、読み終わると、心に残るのは少年スルリックのくじけない心と、そこに手を差し伸べる大人たちとの出会い。自分の身も危うい時に、誰かを助ける勇気を持つことができるのだろうか?そんなことも自分に問いかけてしまう作品です。

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