2021年11月28日

『芭蕉全句集(秋・冬)』(角川ソフィア文庫)

松尾芭蕉は「旅に生きた俳人」として知られ、51年の生涯はまさに旅そのものでした。40歳の時には「野ざらし紀行」の旅に出発。江戸、深川の「芭蕉庵」を発って、伊勢神宮に参拝したあと、ふるさとの伊賀に寄り、その後、名古屋、奈良、京都をまわり、江戸に戻るというおよそ8ヶ月の旅でした。さらにその5年後には「おくのほそ道」の旅。そして亡くなる5ヶ月前には人生最後の旅に出ます。尾張、近江、伊賀、京都、奈良などを巡り、大阪で精力的に活動する中、体調を崩したと言われています。生涯最後の句となったのが「旅に病で 夢は枯野を かけ廻る」。亡くなる数日前までこの句の改案を探っていたそうで、芭蕉の人生の旅は、まさに俳句にこだわり続けた51年でした。

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