心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉が51年の生涯で残した俳句は980余。そのすべてが、季語別に収められている角川ソフィア文庫の「芭蕉全句集」。5月にはこの中から春と夏の俳句を味わいましたが、今回はその後編。秋と冬の句を選んでみました。芭蕉の秋の句でまず浮かぶのが「秋深き隣は何をする人ぞ」。孤独を感じる秋に、他を求める心。人間の本質に迫っているからこそ、芭蕉が生きた時代から300年以上たった現代にも通じる俳句です。また「物いへば唇寒し秋の風」は「人の悪口を言ったりすると寂しい気持ちがする」という意味が含まれていることから、「口は災いのもと」という「ことわざ」とも結びついています。
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