2021年7月25日

伊藤左千夫
『隣の嫁』
(ポプラ社・百年文庫)

伊藤左千夫というと、今年の2月に「斎藤茂吉歌集」を取り上げた時にも名前が出ました。斎藤茂吉は、伊藤左千夫の弟子となり、彼を中心とする短歌誌「アララギ」の編集もおこなっていました。その尊敬する師が亡くなった時の想いを斎藤茂吉は「一本道」という連作短歌にしたのです。そのひとつが「かがやけるひとすぢの道遥けくてかうかうと風は吹きゆきにけり」。いかに茂吉にとって伊藤左千夫が大きな存在だったのかがわかります。小説「野菊の墓」や「隣の嫁」をとおして、明治時代の恋愛や結婚の不自由さを伝え、また歌人として新たな道を示した伊藤左千夫。今から108年前の大正2年7月30日、48歳という若さで亡くなっています。

...前に戻る