心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
イギリスの作家ダフネ・デュ・モーリアが1952年に発表した短編小説「鳥」。この題名で浮かぶのは、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作ですが、まさにあの映画「鳥」の原作です。しかし映画と小説で大きく違っているのは主人公。映画では、ティッピ・ヘドレンという美しい女優さんが登場しますが、モーリアの小説に出てくるのはナット・ホッキンという傷痍軍人。彼は週3日農場で働き、昼休みには妻が焼いてくれるパイを食べながら、半島にやってくる鳥を見守るのが日常でした。ナットがいつものように崖っぷちに座って眼下の入り江の海鳥たちを見ていると、この秋はなぜか鳥たちの様子が違っていることに気づきます。
...続きを読む |