2020年08月09日 | |||
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この作品は被爆した直後の日記をもとに執筆され、最初「原子爆弾」という題名がつけられていました。しかしGHQの検閲を考慮して「夏の花」に改題。主人公が亡き妻の墓参りに出かけ、黄色い可憐な「夏の花」を供える場面が冒頭に出てきます。その2日後に起きた原爆投下。「夏の花」の静かな描写のあとに記されていくからこそ、その状況の過酷さが胸に響いてくるのです。今回は、ちくま文庫の「教科書で読む名作」シリーズの「戦争文学編」で読んでいきましたが、あらためて文学の大切さを感じた「夏の花」。この作品が読み継がれていくことで、戦争を体験していない世代にも「繰り返してはならない歴史」を伝え続けることができるのです。 |