2020年05月03日

ジャック・ロンドン『野生の呼び声』
(スイッチ・パブリッシング・
柴田元幸翻訳叢書『犬物語』)

物語の舞台となっている1897年当時、カナダの北西部「クロンダイク」で金鉱が発見されゴールドラッシュが起き、多くの人がそこを目指します。彼らは厳しい仕事をこなすたくましい筋肉と、極寒にも堪えられるふさふさの毛皮を持つ犬を求めていました。そしてバックも庭師下働きのマヌエルという男に連れ出され売られてしまうのです。そこからはじまるバックの過酷な日々。様々な人の手に渡り、犬同士で戦い、北を目指していくうちに、どんどん野生の血を蘇らせていきます。「最初の一行からラストまで一部のゆるみもない小説」と小川洋子さん。そして生と死が渾然一体となったこの作品には、何度読んでも心に刺さるラストが待っています。

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