2020年01月05日

沢村貞子
『私の浅草』
(暮しの手帖社)

「駄菓子屋」「蚊帳」「ヘチマ水」など昭和の懐かしいものがたくさん出てくる「私の浅草」。下町の人情が伝わってくる「あたりみかん」、浅草の朝の一場面を綴り、そこに人間の生きるエネルギーを描きだした「味噌汁」など名エッセイが掲載されています。また女学校時代の沢村さんに微かな恋心を持っている「味噌やの平さん」などこの本に登場する人たちも心に残ります。そして最後に掲載されているのが沢村さんの弟で、名俳優だった加東大介さんのこと。小川洋子さんが「これほど家族愛にあふれたエッセイを読んだことがない」と感じた一編です。年のはじめに読む「私の浅草」。沢村貞子さんのような心を持って暮らしていけたら、2020年も豊かな日々を送れるのではないでしょうか?

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