2019年12月22日 | |||
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主人公の信子が働くことになったのは、東京の青山にある大学教授の家。そこには家の主人である稲村達也、妻の春子、3人の息子、そして80歳になる達也の母親が暮らしていました。ある夜、喉が渇いて水を飲みに炊事場に行った信子は、春子のこんな言葉を耳にしてしまいます。「今度来た家政婦は要領を使って困りますわ」。自分に対する陰口を聞いたことがきっかけで、信子の仕返しがはじまります。その話の展開に引き込まれるのはもちろんのこと、予想もつかないラストシーン。復讐するほうもされるほうも、心に醜悪なものを抱えている。そんな人間の心の複雑さを暴くような小説。読者もこの作品を読むことで自分の心の奥深い部分を見つめることになるのです。 |