2019年12月22日

松本清張
『熱い空気』
(文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「砂の器」「ゼロの焦点」「点と線」など数々の名作を残した松本清張。1909年(明治42年)12月21日生まれなので、今年は生誕110年です。それにちなんで代表作のひとつ「熱い空気」を読んでみました。実はこの小説は、テレビドラマ「家政婦は見た!」の原作。女優の市原悦子さん主演で人気となったシリーズです。小説が発表されたのは1963年。主人公は渋谷にある「家政婦会」に所属している河野信子。3年前に離婚しているため、この仕事を選びました。「信子は、或る意味で人生の観察者かもしれなかった」という文章が出てくるように、彼女は働くことになった家庭の中で、絶えず気配に耳を立て、その家の主人の動作や主婦の言葉などを事こまかに観察していました。

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