2019年12月08日 | |||
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開高健の「裸の王様」は、1958年の芥川賞受賞作。その時の選考委員は、川端康成、井上靖、石川達三、佐藤春夫、丹羽文雄などでした。佐藤春夫は「まっとうに主題と取組む熱誠な作風は、チョコ才な作品の横行する現代では最も珍重すべきであろう」。丹羽文雄は「今日の作品にかけているものを、裸の王様は力強く打ち出していた」と評価しています。川端康成は「死者の奢りを推すために、裸の王様の欠点を言いすぎるのは誤りであろう」。つまりこの時、芥川賞の候補作に、大江健三郎さんの「死者の奢り」も入っていたのです。1950年代の文学が熱気をはらんでいたことを伝えるエピソード。そしてその次の芥川賞では大江健三郎さんの「飼育」が受賞しています。 |