2019年11月03日

池波正太郎
『錯乱』
(宝島社文庫『時代小説傑作選』)

「錯乱」のもうひとりの登場人物が堀平五郎。馬廻をつとめ、平凡で目立たぬ男ですが誰からも悪意を持たれたことはありません。時には真田信幸に呼ばれ、将棋の相手をし、また自分で将棋の駒を造るという楽しみも持っています。しかしこの人物、本当の姿はスパイ。平五郎の父親、堀主膳は幕府が真田家に潜入させた隠密で、平五郎はその任務を継承することになったのです。真田信幸と堀平五郎。この二人の運命はどうなっていくのか?池波正太郎というと「真田太平記」という歴史小説のシリーズでも知られていますが、「錯乱」はその原点とも言える作品。最後のページを読むと「錯乱」という題名に納得します。

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