2019年09月15日

田辺聖子『雪の降るまで』
(角川文庫「ジョゼと虎と魚たち」)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

6月6日、作家の田辺聖子さんが91歳で亡くなりました。ちょうど10年前「メロディアス・ライブラリー」が2周年を迎えた時、田辺さんのご自宅でお話を伺ったことは、とても貴重な時間でした。今回は田辺聖子さんを偲んで、数多い代表作の中から名短編のひとつ「雪の降るまで」を味わってみました。物語の主人公は「以和子」という46歳の女性。服地問屋の経理事務を十なん年もやっている彼女は、平凡な事務員と思われていますが、結婚する意志はまったく持っていません。「七十、八十まで遊びたい」と思い、「老いても恋に命を燃やせると思うと満足だった」というほど恋愛に対して強い情熱を持ち続けています。

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