2019年07月28日

ルイス・セプルベダ
『カモメに飛ぶことを教えた猫』

(白水Uブックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

劇団四季の新作ファミリー・ミュージカルとして今年の4月から全国で上演されている「カモメに飛ぶことを教えた猫」。原作となっているのはチリの作家ルイス・セプルベダの同名小説。1996年に出版され、ヨーロッパでは「8歳から88歳までの若者のための小説」として親しまれています。物語の舞台はドイツ北部の町「ハンブルク」。エルベ川が北海に流れ込み、河口の上空にはカモメの群れが飛んでいます。そこに群れから離れてしまったケンガーというカモメが1匹。体には原油がべったりとついてしまい飛ぶことができなくなっていました。それを助けようとしたのが猫のゾルバ。ケンガーは息をひきとる前にゾルバにあることを託すのです。

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