2019年05月12日 | |||
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小説「母を恋うる記」の主人公の名前は潤一。やはり谷崎本人と重なります。もちろん小説なので創作の部分がベースになっていて、そこに事実がたくみに織り交ぜられています。谷崎の母親はとても美しい人で、彼は小さい頃から甘えて育ちました。しかし小説に綴られているように、この作品が発表された2年前に亡くなっています。谷崎潤一郎の屈折した女性観。その原点は、実は真っ直ぐで清らかなお母さんへの想いだったということを今回あらためて感じました。また父親の家業が失敗したため、谷崎が10歳の時に没落。これも小説の内容と重なりますが、谷崎はこの小説を、父親の病床で書いたとか。母だけでなく父への想いも伝わってくる作品です。 |