2018年11月11日 | |||
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物語の主人公は、安藤対馬守信正を支えた人物のひとり「笊ノ目万兵衛」。町奉行所の同心で犯罪者を捕える腕は素晴らしく、取り調べも峻烈。罪状決定に際しては情状酌量の意見書をつけ、もし今後罪人が何か起こせば、自分が責任をとるという心の持ち主。しかしその強い正義感が危うさとなり、その後、自分の家族を巻き込む不運が万兵衛の身に起こります。歴史の中にはこういう出来事があったのではないかと思わせる物語。まるでパズルのピースがピタっとはまるような見事なラストを迎えますが、誰も救われない結末に読者の曇った心は晴れないまま。しかし巧みな筆で人生の理不尽さを見事に描いたこの作品はやはり時代小説の名短編と言えるではないでしょうか? |