心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
時代小説の名短編を選ぶ時に、いつも頼りになるのが宝島社文庫の「時代小説傑作選」。書評家、ライター、編集者、書店員の方達によるアンケート投票で決まったオールタイムのベスト5が掲載されています。今回はその中から第4位に選ばれている「笊ノ目万兵衛門外へ」。「読めばたちまち気持ちが曇る屈指の作品」というおすすめの言葉もあり、いったいどんな作品なのか興味を持ちました。1972年、山田風太郎が50歳の時に発表した小説。時代は幕末。題名の「門外」とは「坂下門外の変」の「門外」。井伊直弼の後継者で、「坂下門外の変」で尊王の浪士数人に襲撃され負傷した安藤対馬守信正という人物が登場します。
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