心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
9月30日は「世界翻訳の日」。それにちなんで選んだのは「伊曾保物語」。これは「イソップ物語」のことで、日本にはじめて紹介された西洋古典文学の翻訳です。時代は安土桃山。イエズス会の宣教師たちが、ヨーロッパ伝来の印刷機械を島原半島に備えて、活版印刷を始めました。その時、最初に作ったのがローマ字版の「イソップ物語」。「イソポのハブラス」という題名がつけられて、外国人が日本語を学ぶためや日本人に伝える説教のたとえ話に用いられました。その後「イソポのハブラス」は、「伊曾保物語」として様々な本が出版され、キリスト教の弾圧や鎖国の時代であっても、活字や口伝えなどでお話は広まっていきました。
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