2018年4月1日 | |||
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短編小説「鳥」の主人公である「かれ」は、二十歳の誕生日から大学に行くことをやめ、暗くした自分の部屋に1年以上も閉じこもっています。その躰のまわりには無数の鳥がいて、絶え間ない羽ばたきを続けているのです。家の1階から聞こえてくるのは「かれ」の母親と男の声。その男の「この部屋の外でも鳥たちが現れるかどうか試してみては」という提案によって、「かれ」は久しぶりに外に出る決心をしました。目指した場所は男の研究所。しかし着いてみるとそこは病院だったのです。現実と幻、正気と狂気、正常と異常、その境界線はどこにあるのか?物語のラストを読むと、相反するように見える世界を区切っているものはない、ということを感じます。 |