2018年3月11日

沼田真佑
『影裏』
 (文藝春秋)

現在39歳の沼田真佑さん。北海道で生まれ福岡で育ち、2012年からお父様のふるさとである岩手県盛岡でご両親とともに暮らしていらっしゃいます。東日本大震災が起きて、しばらく小説が書けなくなり「震災を書かずに他のことを書いていていいのか」と感じられたそうです。その想いから生まれた「影裏」。本当に書きたいことは書けないということを悟るように、沼田真佑さんはこの小説を書き続けました。物を生み出す人たちにとっても、東日本大震災は心に重く沈む出来事。しかしその迷いの中で多くの作家たちが、言葉を探す作業を続けています。答えが見つからずでも書き続ける。迷いの中から生まれるもの、それが文学なのかもしれません。

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