心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
いつかは取り上げたいと思っていた夏目漱石の長編小説「吾輩は猫である」。リクエストも沢山いただいていて、2週にわたって取り上げます。「吾輩は猫である。名前はまだ無い」と始まる名作。小説の書き出しベスト10というものがあったら、1位に輝くであろう魅力的な書き出しです。また登場人物もバラエティ豊か。猫の主人である「苦沙弥先生」。鼻の下のヒゲ、胃が弱いなど夏目漱石と重なる部分も多くあります。漱石の教え子だった物理学者の寺田寅彦がモデルだと言われる水島寒月、美学者の迷亭先生、越智東風君などが次々と家を訪れてはおしゃべりをして帰っていく。雑談がそのまま小説になったような面白さがあります。
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