心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
北海道の小樽では、冬に「小樽雪あかりの路」が開催されます。ろうそくの明かりで街を灯すという幻想的なイベント。これは小樽出身の作家で詩人でもある伊藤整の詩集「雪明りの路」にちなんでいます。大正15年、伊藤整が21歳の時に自費出版で300部刊行された処女詩集。それから90年以上親しまれ、特に小樽の人にとってかけがえのない作品になっています。伊藤整が詩を書き始めたのは15,6歳の頃でした。詩壇に先輩も友達もなく、たった一人で詩を書いていましたが、その心細く不安な気持ちが創作の原動力になっていました。そして生み出した詩を豊かに彩っているのは北海道の自然、生まれ育った小樽の雪や緑でした。
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