2017年12月24日
樋口一葉
『大つごもり』
 (岩波文庫)

暇をもらって久しぶりに叔父の安兵衛の家に帰ったお峯。そこで病気の叔父から借金があることを聞かされます。大晦日までになんとか工面するとお峯は請け負い、山村家に借りる約束をするのですが、そこに現れたのが石之助という山村家の総領息子。妹たちと母親が違い、血のつながっていないご新造は機嫌が悪くなってしまいます。結局お峯はお金を借りることができなくなり、大晦日に引き出しに手を伸ばしてしまうのです。このあと物語はどうなっていくのか?貧しい暮らしの中で執筆活動を続けていた樋口一葉。物語の結末、お峯に優しいまなざしを向けているのは、自分と同じ境遇の人たちにささやかな光をそそぎたいという想いだったのかもしれません。

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