2017年12月24日

樋口一葉
『大つごもり』
 (岩波文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治27年12月、樋口一葉が22歳の時に発表した短編小説「大つごもり」。「大晦日」という意味の題名で、年末に読んでみたい作品です。「井戸は車にて綱の長さ十二尋、勝手は北向きにて師走の空のから風ひゆうひゆうと吹きぬきの寒さ」という書き出し。少し読みにくい古語をまじえた擬古文ですが、師走の寒さが伝わってくる文章です。場所は山村という資産家の家。そこで働いている十八歳のお峯が物語の主人公。父も亡くなり、母も亡くなり、叔父の安兵衛の家に世話になっていましたが、その後、山村家で働くようになります。逃げ出す者も多いと言われる厳しい家。お峯は辛抱強く奉公を続けているのです。

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