2017年10月15日 | |||
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「富嶽百景」を書く前の太宰治は、自殺をはかったり、薬の中毒になったり、破滅的な生活を送っていました。その状況から抜け出して、人生を立て直そうとした太宰治。昭和14年1月に、井伏鱒二の家で結婚式を挙げ、甲府で新婚生活に入ります。落ち着いた生活の中で執筆に専念して発表したのが「富嶽百景」。十国峠から見た富士山はよかったという記述や秋の風景の中で出会った様々な富士の姿も綴られていて、未来に明るい気持ちを持った太宰の心情が伝わってきます。その後「走れメロス」など優れた短編も発表しますが、再び破滅の道に進んでいった太宰治。自ら命を絶ったのは「富嶽百景」から9年後のことでした。 |