2017年4月30日

藤原新也
『西蔵放浪』
 (朝日文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

ゴールデンウィークに読書で旅を味わってみたいということで選んだ1冊「西藏放浪」。写真家で作家としても活躍されている藤原新也さんが、1977年に出版された本です。インドやチベットを旅する日本人がまだ少なかった1960年代の終わり頃から、たったひとりカメラを持って放浪された藤原新也さん。旅の記録を写真と文章を組み合わせて発表されています。「旅の面白さの一つは、この此岸の国の今から、彼岸の国の今へとタイム・スリップして行くダイナミズムの中にある」という印象的なまえがき。その言葉どおり、旅が単なる別の場所への移動ではなく、様々な土地の、それぞれの人々が生きている今という時間に入り込む面白さだと教えてくれます。

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