心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
昭和49年の芥川賞受賞作「月山」。当時、森敦さんが62歳で受賞されたことから、最高齢での芥川賞受賞として話題となりました。小説の題名にもなっている「月山」は、山形県の中央部に位置する標高1984mの山。主人公の「わたし」は、その山間の「七五三掛」という場所にある注蓮寺をひたすら目指し、そこでひと冬を過ごすのです。なぜそこを目指したのか、「わたし」とはいったいどんな人物なのか、何の説明もないまま「月山」の奥深くに入っていく物語。そこはまるであの世とこの世の間にあるような世界。現実の続きとして死後の世界があることを感じさせてくれる作品です。
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