2016年11月27日
森茉莉
『枯葉の寝床』
 (講談社文芸文庫)

森茉莉が昭和36年から37年の間に立て続けに男性の恋愛ものを書いたのは、ジャン=クロード・ブリアリとアラン・ドロンというお気に入りの俳優を見つけたからだとか。その姿を見て空想の世界を広げていきます。おとぎ話のような設定なのに、読んでいくうちに深く入り込んでしまう不思議な作品。ではなぜ森茉莉は、自分では経験できないことを、リアリティを持って描けるのでしょうか?それもやはり文豪の血を受け継ぐものだからかもしれません。「こんな娘を育てた森鷗外はすごい父親だとあらためて感じた」と小川洋子さん。きわどいテーマでありながら、文学的美しさに彩られた稀有な小説。今あらためて味わってみたい文学のひとつです。

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