2016年11月27日

森茉莉
『枯葉の寝床』
 (講談社文芸文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

54歳の時、随筆集「父の帽子」で作家デビューした森茉莉。そのきっかけは父である森鷗外の印税の期限が切れて、お金を稼ぐ必要があったから。しかしそう思ってすぐに名随筆が書けるのは、やはり文豪の血をひいているからなのではないでしょうか?さらに4年後の昭和36年に小説「恋人たちの森」を発表。三島由紀夫などから高く評価されました。この作品は、男性同士の恋愛を描いたもの。小説を書く時に、森茉莉がこだわったテーマのひとつです。そして今回取り上げた「枯葉の寝床」もその流れにある小説。フランス貴族の父を持つギランという男と美しい青年レオの物語。最初から破滅しているような二人の関係はどうなっていくのでしょうか?

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