2016年9月11日
アンデルセン
『絵のない絵本』
 (新潮文庫)

ハンス・クリスチャン・アンデルセンは、北欧の国デンマークの作家ですが、「絵のない絵本」には様々な国の物語が出てきます。実はアンデルセンは旅から旅へさすらい歩いた作家。1831年、26歳の時にはじめて母国以外の国に出掛け、その2年後には、ドイツ、フランス、イタリアまで旅をして、その印象をもとに自伝的小説「即興詩人」を発表しました。しかし「絵のない絵本」には、アンデルセンが行ったことのないインドやアフリカなどの物語も含まれています。知らない国にも心の旅をして物語を綴ったアンデルセン。「絵のない絵本」には、彼の豊かな想像力と優しい眼差しがあふれています。貧しくても孤独でも、その人の人生を肯定してくれる月の光がいつも優しく照らしてくれるのです。

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