2016年9月11日

アンデルセン
『絵のない絵本』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

秋の楽しみのひとつは美しい月を見上げること。その月の輝きから生まれた作品がアンデルセンの「絵のない絵本」です。アンデルセンと言えば「人魚姫」や「マッチ売りの少女」「雪の女王」などが収められた童話集が有名ですが、今回取り上げた「絵のない絵本」は大人も楽しめる連作短編集。友達も顔なじみもいない貧しい絵かきの若者が、毎晩、窓のそばにたって、月が語る物語を書き記していきます。それは時にインドのガンジス河でのエピソードだったり、フランス革命にちなんだ話だったり。月は、場所も時間も自由に移動して、様々な想いや神秘的な風景を若者に伝えていき、その短い物語が33編収められています。

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