2016年6月12日

牧野富太郎『なぜ花は匂うか』
 (平凡社 STANDARD BOOKS)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

江戸時代の終わりに生まれ、明治、大正、昭和と活躍した植物分類学者・牧野富太郎。94年の生涯で収集した標本はおよそ40万枚、新種や新品種など1500種類以上の植物を命名。日本の植物分類学の基礎を築いたと言われています。「日本の植物分類学の父」とも言える牧野富太郎。彼によるエッセイが「なぜ花は匂うか」。読めば読むほど植物への果てしない愛を感じる内容です。「植物と心中する男」というエッセイはその題名も、また綴られた言葉も驚くものばかり。「私は植物の愛人としてこの世に生まれきたように感じます」「私は飯よりも女よりも好きなものは植物」など、どこを読んでもすべてが植物への愛であふれています。

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