2016年5月8日

椋鳩十
『片耳の大シカ』
 (偕成社文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

動物をテーマにした児童文学を数多く発表している椋鳩十。その中から今回選んだのは「片耳の大シカ」。1950年(昭和25年)の作品です。舞台は鹿児島県の屋久島。この島には吉助おじさんというシカ狩りの名人が住んでいました。そのおじさんから手紙をもらった主人公のぼくは12月の屋久島に出掛けていき、おじさんと一緒に山に入ります。そこで出会ったのが「片耳の大シカ」。何度も人間の手を逃れてきた大シカを追って山の奥に入っていくと、降ってくる雨。逃げ込んだほら穴には、なんと30頭近いシカの群れとサルたちがいたのです。しかし動物たちは逃げる様子もなく、人間たちを受け入れてくれたのでした。

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