2016年5月1日
吉屋信子
『花物語(上)』
 (河出文庫)

大正から昭和にかけては、林芙美子、宇野千代など個性的な女性の作家が登場した時代です。中でも吉屋信子は、独自の生き方をした作家でした。栃木で少女時代を過ごし、作家を志して上京。そして二十歳の時に「鈴蘭」を発表。この短編小説からはじまる「花物語」という連作で一躍有名になりました。その後も自分の作品をとおして同性愛の体験を告白。公私にわたって支えあった女性とともに昭和のはじめにヨーロッパに渡ります。そして1年近くパリに滞在。そのすべての行動が当時の女性にとって未踏の地だったのではないでしょうか?今あらためて読みたい吉屋信子の文学。その入口になるのが少女小説として人気となった「花物語」です。

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