2016年4月24日
川端康成
『伊豆の踊子』
 (新潮文庫)

「伊豆の踊子」は、作者の実体験に基づいた小説です。大正6年、川端康成は第一高等学校に入学し、学校の寮に入ります。その翌年、寮の仲間の誰にも告げず一人きりではじめて伊豆に旅をするのです。まさに「伊豆の踊子」の主人公は川端康成自身。そこで実際に旅芸人と出会い道連れとなり、その体験を作品にして発表しました。ちなみにこの時に泊まった湯ヶ島の宿はそれ以後、川端康成の定宿になったそうで、10年間毎年出かけていき、時には1年の大半を過ごしたこともありました。この伊豆で作家・梶井基次郎とも知り合い、「伊豆の踊子」を刊行する時には、梶井基次郎が校正作業を手伝ったとも言われています。

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