2015年11月08日
阿川弘之
『食味風々録』
 (中公文庫)

志賀直哉の弟子として文学の道に入られた阿川弘之さん。エッセイ「食味風々録」の中にも師匠のことが出てきます。志賀直哉は「米の飯」にほとんど興味がなかったエピソードや短編小説「小僧の神様」に使われたモデルのお寿司屋さんの話。また谷崎潤一郎や阿川さんのお友達・北杜夫さんなど様々な作家も登場します。「鮨」「鰻」「ビフテキ」などなど美味しそうだなあと楽しみながら読んでいるうちに、その食べ物の歴史的背景も知ることができるエッセイ。さらに現在、中公文庫から出ている「食味風々録」には娘の阿川佐和子さんとの対談も載っていて、生前の阿川弘之さんを感じることが出来る1冊。食を通して振り返る自叙伝でもあります。

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