心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
翁から歴史の講釈を聞くという内容の古典文学「大鏡」。平安時代の後期に生まれたと言われますが、実際には成立したのがいつなのか、作者が誰なのかもわかっていません。藤原氏か源氏に属し、漢文学にも仮名文学にも通じた教養人の男性貴族が書いたのではないかと推測されます。文徳天皇から後一条天皇に至る14代、850年から1025年という藤原摂関時代の歴史の論評。特に全盛期の藤原道長に焦点を当てています。「歴史の真実を明らかに映し出す鏡」という意味が込められた題名のように、その当時の政界の動向、政治家の言動がありのままに出てくることから「政界の内部告発の書」と言ってもよいと解説の武田友宏さんが書かれています。
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