2015年04月26日

夏目漱石
『三四郎』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1908年(明治41年)、朝日新聞に連載されていた夏目漱石の「三四郎」。大学入学のため九州から上京してきた青年・小川三四郎が都会の中で様々な人達と出会い、その経験や恋愛模様が描かれている小説です。個性的な登場人物と当時の日本を感じることもできる作品。100年以上も前に発表されたとは思えない、今、読んでも色々な楽しみを感じる小説です。最初のエピソードから驚くような展開。東京に向かう列車の中で、見知らぬ女と知り合う三四郎は、名古屋の宿で同じ部屋になってしまいます。その女に気を遣ったつもりの三四郎。しかし別れ際、女から「あなたは余っ程度胸のない方ですね」と言われてしまうのです。

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