2013年09月29日
辻邦生
『安土往還記』
 (新潮文庫)

辻邦生さんの奥様・辻佐保子さんは美術史家で、おしどり夫婦としても知られ、ご夫婦で1957年から61年までフランスに留学されています。辻邦生さんが「安土往還記」を思いついたのはパリ滞在中。そして具体的な構想がまとまったのは日本に戻ったあとの1967年。その1年後から連載がスタートしています。海外に暮らすことで日本を客観的に見る目を持たれていた辻邦生さん。さらに小説の可能性を広げようという辻さんのチャレンジ精神によって「安土往還記」という今までにない小説が誕生したのではないでしょうか?辻邦生さんは1999年に73歳で亡くなられていますが、「安土往還記」はいつまでも読み継がれる文学遺産のひとつだと思います。

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