心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
今回取り上げたのは、ドイツの作家シュトルムの短編小説「みずうみ」。年老いた主人公が、自分の若き日の恋を振り返るという物語です。発表されたのは1849年。日本では江戸時代の終りにあたります。主人公のラインハルトは、幼い頃、エリーザベトという少女といつも一緒に過ごしていました。兄と妹のような関係でありながら、お互いを想う気持ちは異性に対する強い想いと同じ。しかしラインハルトの勉学のため、二人は離ればなれに暮らすようになっていきます。そこからすれ違っていく二人の心。初恋は実らないからこそ、文学として結実したのかもしれません。詩のように美しい言葉で綴られた名作のひとつです。
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