2013年08月25日
瀬戸内寂聴
『夏の終り』
(新潮文庫)

小説「夏の終り」は、瀬戸内寂聴さんが40歳の時に書いた作品。当時、瀬戸内晴美さんとして発表、女流文学賞を受賞されています。瀬戸内さんご自身「自分の作品の中で最も好きなもの。自分の経験を私小説の技法で描いた」と書かれています。つまりヒロインの知子は、血を流すような想いで瀬戸内さんの痛みの中から生み出されたもの。だからこそ出版から50年たった今も、色あせない魅力を持っているのです。51歳で出家されて、現在91歳の瀬戸内寂聴さん。ずっと文学にたずさわり、小説を書き続けてこられました。「神々しくて拝みたくなるほど」と小川洋子さんも感じるほど、日本文学界の中で大きな存在です。

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