2013年08月18日

寺田寅彦
『科学と科学者のはなし』
(岩波少年文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

日本を代表する物理学者・寺田寅彦は、1878年(明治11年)東京・麹町生まれ。大正・昭和にかけて活躍し、多くの弟子を育てました。また科学の楽しさを人々に伝える優れた随筆を残し、その数およそ300編。今回取り上げた「科学と科学者のはなし」は、宇宙物理学者の池内了さんが寺田寅彦の残した随筆の中から選び抜いたエッセイ集です。「寺田寅彦の随筆には、普段何げなく見過ごしてしまうようなことでも、科学の法則や原理が発見できる」と池内了さん。たとえば「茶碗の湯」というエッセイでは、熱い湯の入った茶碗を通してあらゆる自然現象を説明。ひとたび科学者が見ると茶碗の中にも宇宙を感じるものなのです。

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