2013年08月04日

庄野潤三
『プールサイド小景』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「夏に読みたい小説」というリクエストもいただいている「プールサイド小景」。庄野潤三さんが1954年に芥川賞を受賞した作品です。題名のとおり、プールサイドの情景からはじまる物語。主人公である青木弘男という人物が、夕方のプールサイドで2人の息子が泳いでいるのを見守っています。やがてプールの入り口に現れたのは、白い犬を連れた青木夫人。そのあと家族4人は夕暮れの中、穏やかに帰っていくのです。どこにでもある幸せな家族の情景に見えますが、実はこの夫婦は大きな問題を抱えていました。夫が会社の金を使い込んだため、1週間前に18年も勤めた会社をクビになっていたのです。

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