2013年07月21日

木山捷平
『鳴るは風鈴』
(講談社文芸文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

小川洋子さんのふるさと岡山県を代表する作家というと、まず浮かぶのが内田百閨B明治22年に生まれていますが、それから15年たって誕生したのが木山捷平。場所は岡山県の南西部、瀬戸内海に面した「笠岡市」です。明治に生まれ昭和43年、64歳で亡くなるまで数多くの詩や小説を発表した木山捷平。今回はその中からユーモアを感じる短編小説「鳴るは風鈴」を取り上げました。彼が55歳の時の作品。物語は、木良兵六という主人公のもとに、ある人物が訪ねてくるところからはじまります。「ごめんなし」とへんな語調で挨拶する男。それは26年ほど前、大久保の下宿で一緒だった矢根宗五郎だったのです。

...続きを読む