2013年04月07日
佐藤春夫
『田園の憂鬱』
 (新潮文庫)

佐藤春夫は、他の作家とのつながりも多い人物。師と仰ぐ与謝野鉄幹・晶子夫妻や先輩の森鴎外、友人の高村光太郎の追悼文も残しています。また佐藤春夫を囲む「春の日の会」も作られていたとか。昭和39年4月9日、佐藤春夫の72歳の誕生日を祝う会には、井伏鱒二、堀口大学、檀一雄、井上靖、柴田錬三郎、安岡章太郎、吉行淳之介などがいたそうです。また不思議な関係は谷崎潤一郎。彼の賞賛と励ましがあったからこそ、佐藤春夫は「田園の憂鬱」を完成させる事が出来たとか。しかしその後、佐藤春夫は谷崎潤一郎の前妻・千代夫人と結婚。谷崎が他に好きな人が出来たため、彼女を慰めた佐藤春夫との間に愛が育まれていきました。なんとも奇妙な作家同士のつながり。しかし文学を感じるエピソードでもあります。

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