2013年03月31日

アントニオ・タブッキ
『インド夜想曲』
 (白水Uブックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

イタリアを代表する作家アントニオ・タブッキ。彼の作品を日本に広めたのは須賀敦子さん。今回は、タブッキの代表作「インド夜想曲」を須賀敦子さんの翻訳で味わってみました。この小説は1984年に発表され、フランスで権威のある文学賞「メディシス賞」の外国小説賞を受賞。また1989年にはフランス人監督アラン・コルノーにより映画化もされています。物語は主人公である「僕」が、失踪した友人を探すためにインドにやってくるところからはじまります。しかし彼がなぜ失踪したのか?読者が知りたい情報は何ひとつ教えてくれないまま旅は続きます。まるでミステリーのよう。だからこそ小説が作り出す不思議な世界へ読者は入り込んでしまうのです。

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