2013年03月10日

三浦哲郎
『ユタとふしぎな仲間たち』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

東日本大震災から2年。今週は東北を応援する想いで三浦哲郎さんの「ユタとふしぎ(不思議)な仲間たち」を取り上げました。勇太(ユタ)という東京で育った少年が、お父さんを事故で亡くしたため、お母さんの実家がある東北の「湯ノ花村」にやってくるというお話。そこで不思議な座敷わらしたちと親しくなり心を通わせます。座敷わらしというと、柳田国男の「遠野物語」を思い出しますが、三浦哲郎さんが表現される座敷わらしたちは、体温を感じるほど一人一人の心情が伝わってきます。というのも三浦さんには、彼らに深い想いを持つ理由があったとか。実は、座敷わらしと同じ運命をたどっていたかもしれないそうです。

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